インタビュー前編
〜夢は歌手!! レッスンを重ね、ミュージカル俳優としてのキャリアがスタートする〜
(続き)
松田「そこで一回道がなくなっちゃったじゃないですか。でもいつか必ずって思いは消えていなかったと。」
今泉「全然消えてなかったです。作曲家の先生にもついたりしていたので、事務所がなくなってもその方のレッスンには通っていました。」
松田「今って歌うところがなくなったとき、例えばYouTubeに投稿してみるとか、やりようがいくらでもあるじゃないですか。でもちょっと前まではそういうのがあまりなかったと思うんですが、その時はどう探していたんですか?」
今泉「そういうコンテンツはもう雑誌しかなかったので、いまはもうWebになってますが、※デビューでも募集を載せたりしていました。月刊誌がいくつかあったのでそれをくまなく探して。どっかいいとこないかなって。」※かつて発行されていた、月刊のオーディション情報誌
松田「ひたすらオーディションを受ける日々ってことですか。」
今泉「まあでも結局のところ、養成所っていうのは莫大なお金がかかって、結局大成しないっていうのが、事務所の件でわかっていたので…。14、15歳にして芸能界の裏がみえたりもしていました(笑)。」
松田「なかなか経験しないですよね14、15歳で(笑)まだ一生懸命やっている途中ですもんね、どっちかっていうと。」
今泉「でもまあ、そんな急いでやることでもないなと思い、とにかく力をつけたいとレッスンにはずっと行っていました。高校1年生のときに、イマジンミュージカルっていうミュージカルのオーディションにぽんっと受かったのがきっかけで、そこから初めてミュージカルに足を踏み入れました。」
松田「それってミュージカルがいいなって思って出したんですか?それともいくつか出していたら、たまたま受かったんですか?」
今泉「ミュージカルには興味を持ち始めていて、劇団四季も見ていました。歌と踊りが両方好きだったから、両方できるのはミュージカルだなと。お芝居も大好きだったのでよく見に行ってたし、勉強したいなという気持ちもあって、イマジンを受けたんですよ。そしたらすごくいい形でとっていただいて。それでもまだ15、16歳なので、もうひたすらレッスンして、アンダースタディーデイって感じでしたけど。それでも高校二年生では初舞台を踏ませて頂きました。そこから20歳くらいまでイマジンにいました。」
松田「じゃあもう10代の後半はずっとミュージカルで過ごしたと。」
今泉「春休みと夏休みは全国公演に行くっていう高校生活でした。そこからダンスも本格的にやるようになりましたね。すごい頑張ってました。」
松田「その時期からもう、今のベースに近づき始めたってことですかね。」
今泉「そうですね。もう10代後半からはミュージカルでしたね。」
┃出会った“ミュージカルの楽しさ”
松田「もともとの歌手っていうのがあったじゃないですか。そこからちょっと新しいものに変わっていったってことですかね。」
今泉「向いてないなって気持ちもちょっとあって。そのときも、作曲家の先生についてレッスンしているときに、こんな見てくれで、中途半端で、アイドルにしてはそこまで可愛くないしみたいなことを平気で言うんですよ(笑)。」
松田「そんなこと言われるんですか?」
今泉「でも歌はうまいんだよな、演歌でもやってみるかって演歌をやらされたりとか。歌謡曲にいって、ちょっとこう、ニューミュージック系にいってみたり、演歌を1年やってみたり、そういう時期が中学3年か高校1年のときにあったんですね。」
松田「すごい早い時期の下積み(生活)が。」
今泉「その時に、私歌手向いてないんじゃないって思ったりもして。」
松田「一通りさらったってことですか?」
今泉「さらったんです。あの頃にさらったことで、今いろんなジャンルの歌をうたえるし、全部プラスにはなっているんですけども。」
松田「磨いていった結果、新しい道を見つけたってことですかね。」
今泉「見つけたって感じでした。『あ、ミュージカル楽しい』っていう。」
松田「そのときもう楽しかったんですか。」
今泉「楽しかった。一切歌手に引きづられることもなく、ひたすらその舞台ってものが好きになって、楽しんでました。」
松田「目の前の稽古とかを消化していく感じですか。」
今泉「学業をほとんど捨ててたので(笑)本当にレッスンが楽しくて。」
松田「大学は行かれていたんですか?」
今泉「行ってないです。音大にいこうと一瞬思った時期もあったんですけど、なんせピアノが嫌いで、下手くそだったので『弾きたくないしな』と思って。むしろそのとき既に現場がたくさんあったので、大学行くよりも、ステージに立ちたいって気持ちの方が強かったですね。」
松田「いい流れがそこでちょっと出来てたんですね。学生の方とかって、ちょっとひとまず学業とか、そこでもうちょっと音楽の勉強しながらとかありますけど、もうそのときにいる場所があったっていうことですね。」
今泉「そうですね。父親が教育者だったんですけど、一切勉強のこと言わなくて、やりたいことをやりなさいと。」
松田「家族のサポートが大きかったですか?」
今泉「大きかったです。とにかく父が絶大な応援者で、やりたいなら別に学校はいらないだろう、進学しなくていいよと言ってくれて。」
松田「ご兄弟は?」
今泉「弟がいます。」
松田「じゃあ、もう好きなことやれっていう感じで。」
今泉「そうですね。とにかく父は舞台にたつことを一番喜んでくれていたので、大学いきなさいとか高校でいい成績とりなさいとか言われたことはないです。」
松田「いま肩書きとしては女優とか、俳優になるんですか?」
今泉「舞台俳優ですかね、シンガーとしてライブをやったりもするので。」
松田「それが自分の職業だって思った瞬間ってそのタイミングですかね、20歳くらいのとき。」
今泉「どうなんでしょうね。それってそれぞれの感じかたあると思うんですけど、それがビジネスになるかならないかで考えるんだったらまだまだだったと思います。まだアルバイトもしてましたし。でも、プロの俳優としてやっていくんだって気持ちは10代の頃からありました。」
(中編につづく)
(文・写真:朝倉泰臣)